山本彩が、3ヵ月連続リリース企画の第2弾となる新曲「ブルースター」を3月27日に配信リリースした。今作は、現在放送中のTVアニメ『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?』のエンディングテーマとして書き下ろした、美しく儚いバラードナンバー。念願だったというアニメタイアップ曲の制作を中心に、この連続リリース企画について聞きました。
Text 山本祥子 Photo 下田直樹
Hair&Make-up chim Styling Samu Kashiwagi
■前回、「活動再開の大きな動機として、ライヴをやりたいと思った」と話されていて。まさに有言実行というか。アルバム『&』を引っさげて全国を巡り、年明けにビルボード、現在はホールツアー中で、5月からアジアツアー。精力的なだけでなく、挑戦的でもありますね。(取材は3月下旬)
「はい。新しいこと、次のステップに向かう姿勢を届けていきたいっていう想いはあります。特に何もできなかった時間が長かったじゃないですか。ようやく全力で動けるので、ライヴはもちろん、今回のようなタイアップもきっかけに、今やれること、やりたいことはどんどんやっていこうと思ってますね」
■何もできなかったというのは、コロナ禍であり、休養期間だと思うのですが。そこを経て、意識に変化を感じることはありますか?
「制作にしろ、仕事にしろ、だいぶ気楽に取り組めているなというのは感じてて。この半年は3ヵ月連続リリースに向けて、水面下でマルチタスクにやってきて。常に何かしら課題を抱えている大変さはあったんですけど、それが不可能だって感覚はまったくなく、むしろ楽しみながらやってきましたし。新しい曲を作ったことで、これをきっかけにまたできる、これからもっともっとできるなっていう意識になりましたね」
■気楽に取り組む方向に心が向いた、それが実現できたのは、相当な変化ですよね?
「かなり大きくて。完全ではないことを許せるというか。例えば、今までだったら、1曲できるまではデモを提出しない、みたいな」
■途中経過は誰にも聴かせたくない?
「未完成のものは見せられない、みたいな恥ずかしさがものすごくあったんです。けど今はワンフレーズでも送るし。さらに言えば、次はこういう曲が書きたいとか、こんな仕事をやってみたいとかってひらめいたら、その場で何でも言ってみる。そういうことが結構できるようになりました」
■その勢い、前のめりなムードが、この3ヵ月連続リリースにも出ていると。
「そうですね。第2弾の“ブルースター”に関しては、アニメサイドからのリファレンスがあったんですけど。それでもこういうサウンドで、こういうBPMで、こういう楽器を入れたいとか、方向性や骨組みをしっかり考えて、細かく出させてもらった意見がそのまま形になった、より自分の要素が強まった曲たちができていると思ってます」
■完全を求める頑なさから解き放たれたら、むしろ自分の要素が濃い曲になった?
「まさに。これまでは自分の曲だけれども、プロの方が編曲で携わってくださるとやっぱりその方の意見がいいに決まってるから…… みたいな感じで、最終的に委ねることも多かったんです。でも今はリスペクトの気持ちを持ちつつ、自分はこういうことを表現したいんだって、譲れないところは譲らずに伝えられるようになってきたんですよね」
■アルバムでジャンルレスを爆発させていたので、今回もさらなる振り幅を覚悟してましたが、1発目「Nocturnal」で、こうきたか!って。
「ハハハハハ。ライヴハウスツアーで自分のルーツであるロックな面は出せたので。それも大事にしつつ、軸にしつつ、違うアプローチで盛り上がれる曲が欲しいな、ロックじゃないとなるとなんだろう?って考えた結果、こうきたか!ができてしまいました(笑)」
■という話を聞くと、制作が気になります。
「私は曲先なので、ギターの弾き語りと鼻歌みたいなデモで、大まかな曲の構成とメロディを、編曲の清水“カルロス”宥人さんにお送りして。これをこういうアレンジにしたいですって、いろんな曲の参考資料と一緒に提示したという感じですね」
■「こういう」を具体的な言葉にすると、どうでしょう?
「自分の頭で鳴っている音がどういうジャンルに属するのかわからなかったので、わりと状況説明的なものが多くて。管楽器を入れたいですとか、こんなリズムがいいですとか。あとは夜の街で踊れるような、けどバンドサウンドじゃなくてエレクトロみたいな」
■あとはギターやピアノじゃなくて、ホーンに乗せて歌うと、生まれてくるリズム感や歌質がこんなに変わるんだ!?って思うぐらい、新鮮なヴォーカルの響きでした。
「ありがとうございます。カルロスさんもノリノリでやってくださって。いやぁ、もうデモ作りから楽しかったですね。“ここはこうしたほうがいいですかね?”“こんなのも面白いかも?”って細かく話を聞いてくださって、密に意見交換ができましたし。なによりレコーディングのディレクションがとてもわかりやすかったから。より解像度の高い歌が歌えたなっていうふうに思います」
■そして、次はそっちに行くんだ!?となる第2弾は、アニメ『魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?』のEDテーマです。
「もともとEPを作りたいと思っていて。でも“時期的にも納期的にもちょっと厳しいよね。じゃあ、3ヵ月連続リリースにするか”ってことになったので、その段階ではどういう曲を書くのか全然決めてなくて。なので、この振り幅は本当に、その時、その瞬間の発想を頼りに作ったらこうなりました、という感じなんです」
続きはB-PASS 2024年6月号でお楽しみください!!
『Sayaka Yamamoto Asia Tour 2024 - 彩 -』
5月24日(金)MAO Livehouse広州-永慶坊店
5月25日(土)MAO LIVE HOUSE上海
6月1日(土)花漾Hana展演空間
6月2日(日)花漾Hana展演空間
山本彩
やまもとさやか。’93年7月14日生まれ、大阪府出身。’10年のNMB48発足よりグループの中心メンバーとして活動し、’18年11月にグループを卒業。’16年10月に1stアルバム『Rainbow』でソロデビュー。’23年5月に4thアルバム『&』を発表した。現在、初となるアジアツアー『Sayaka Yamamoto Asia Tour 2024 - 彩 -』を開催中。
公式サイト
https://yamamotosayaka.jp/
2024.02.28 Release
01. Nocturnal