GENERATIONSのヴォーカルとして活躍する片寄涼太から、ソロアーティストとして初のCD作品が届けられた。これまでも楽曲を発表してきた彼が、なぜこのタイミングでCDリリースに至ったのか。そしてアーティストとのコラボで生み出された楽曲とは? 彼の言葉から、このプロジェクトの成り立ちを紐解いていきましょう。また、撮り下ろし写真のアザーカットも公開!
Text 斉藤碧 Photo 大川晋児
Hair&Make-up Shinya Kumazaki Styling Sohei Yoshida / SIGNO
■なぜ今のタイミングで、ソロとしてCDシングルを出そうと思ったんですか?
「ソロデビュー以来、ずっと配信で出してきたんですが、僕自身がCDを聴いて育った世代なので、いつかはCDにして手元に届けたいなと思っていたんです。なおかつ、個人的には今年8月に30歳という節目を迎えるので、日頃応援してくださっている方々に、ソロアーティスト片寄涼太として自分の曲をお届けしたいなと思い、企画させていただきました」
■昨年はGENERATIONSの10周年を記念した活動が詰まっていたので、具体的に動き始めたのは今年に入ってからでしょうか。
「はい。僕は俳優としても活動していますし、これまではGENERATIONSの活動とソロ活動の調整が難しい時期もあったんですけど。今回は僕自身の節目でもあり、GENERATIONSとしても今年7月に新体制になって、ここからまた頑張っていくぞ!というタイミングだったので、今出すのがベストだと思って制作に入りました。ある意味、スタート地点に立った気持ちでいます」
■ソロ曲を制作する際に、特に大事にしていることはなんですか?
「タイアップありきで制作することも多いんですが、それと同時に、GENERATIONSとしては関わってこなかったような新しい世代のアーティストとのコラボも積極的に行なっていきたいと思っています。最初に“これが自分の音楽の方向性だ!”っていうのを示してくれたのは、’20年に配信した“Possible”ですね。この曲は、☆Taku Takahashiさんとシンガーソングライターの向井太一くんが作ってくれて。グループの場合、後々ダンスがつくことや“ダンス&ヴォーカルグループのGENERATIONSが出すなら…… ”というイメージを踏まえた曲作りになるんですが、“Possible”を制作する中で、ソロは自分がこういう曲を歌ってみたいとか、こういう人と一緒にやってみたいという気持ちを大事にする場所なんだと学んだんです。だから、その後もTani Yukiくんに“運命”という曲を作ってもらったり。僕が好きだと思う音楽性のアーティストと作り上げた楽曲が、ソロの色になりつつあるなと感じています」
■今作でコラボしたeillさんは、どういうところに惹かれてオファーしたんですか?
「eillさんは唯一無二の歌声をお持ちですよね。それにシンガーソングライターとしても、ドラマティックなバラードからアッパーな曲まで幅広く挑戦されているところに惹かれました。ギャルにもなってたし」
■「ただのギャル」という曲ですね(笑)。
「そうそう(笑)。その曲を聴いて、音楽的に楽しめそうな方だなと思って。僕の可能性を広げてくれるんじゃないかなという期待もあり、お声がけさせてもらいました」
■「tenkiame」で、eillさんに片寄さんのほうから事前にリクエストしたことは?
「“tenkiame”というタイトルは、eillさんとディスカッションしつつ、僕が決めました。初めは、悲しいことやツラいことがあってもその先でちょっとポジティブになれたらいいな、とか。その苦しみを飲み込んででも明るい未来に向かって進んでいくみたいな、ポジティブなメッセージを込めた曲にできませんか?と提案させていただいて。“日常のちょっとした悲しみを天気雨が降ってきたなーくらいに思えたらいいですよね”っていう話から、このタイトルになりました。トラックの方向性に関しては、自分が小中学生の頃に聴いてきた2000年代のサウンドを意識しつつ、あくまでもJ-POPに落とし込みたいとお伝えして制作してもらいました。もしグループの曲を作るなら流行の最先端をいきたい!って考えていたかもしれないですけど。ソロは肩の力を抜いて、今の自分にフィットする曲を歌いたいという気持ちが強くありました」
■歌詞はソロ曲にしては珍しく女性目線で。これはラブソング……?
「初めはラブソングになる予定でした。なんなら、もっと憂いを帯びた感じの。タイトル以外に僕からもいくつかワードを挙げて制作に入ってもらったんですが、最終的に女性目線のラブソングにするか、夢や人生のようなテーマを歌うかの2択になったんです。eillさんから“どっちがいいですかね?”って聞かれて。最初にeillさんのデモを聴いた時、恋愛の歌詞が似合いそうだったので、“女性目線のラブソングにしましょうか”とお伝えしたんです。でも仕上がってみたら、そこまで恋愛に偏っていないというか。抽象的な表現もあり、ザッと雨が降った後、穏やかな心で景色を眺めているような曲になったなと思います」
■片寄さんはご自分でも作詞されますが、「tenkiame」の制作を通して刺激を受けたことや、発見したことはありますか?
「たくさんありますが、特にメロディに対しての言葉のハメ方に遊びがあるなと思いましたね。1番の〈もっと苦くてハッピーエンドでもない そんな⼼は天気⾬〉は、僕だったら〈ハッピーエンドでもない〉と〈そんな心は〉で切ると思うんです。でも、eillさんはあえて“そんな”まで繋げていて、そこで切るんだ!?って思ったし。〈ハッピーエンド〉の譜割りもワンフレーズで収めないんだ!?って驚きました。サビ後半の〈染まっている私〉も、“私”の語尾の伸ばし方が新鮮だったなぁ。わりと強引な表現だったから(笑)。けど、それが今のJ-POPシーンの流行だし、耳に残るポイントだったりするので、その絶妙なラインを教えてもらったレコーディングでした」
■ヴォーカルレコーディングも、eillさんが直接ディレクションされたんですか?
「はい。レコーディング前、eillさんが仮歌を入れてくれたデモとESME MORIさんのアレンジはいただいていたんですけど、コーラスアレンジやヴォーカルディレクションはなくて。それこそコーラスは実際に現場で一緒にやりましょう!って言われていたので、どんな完成形になるのか、僕もあまりわかっていなかったんです。でも、eillさんの中では見えていたんでしょうね。コーラスが入った結果、すごく華やかな曲になってビックリ。しかも、サビ頭は人数感があって〈Some day〉がドン!って聴こえるけど、僕の声がハッキリ聴こえたほうがいいところはコーラスが薄くなっていたりして。コーラスに緩急がついているところもいいなって思いました」
■コラボだと、どこまで自分の色を出し、どこまで相手の色に染まるかのバランスが難しそうですが、その点はいかがでしたか?
「むしろeillさん自身がシンガーだからこそ、僕の気持ちも汲んでくださって。やりやすいようにやりましょう!と言ってくれていたので、気軽に言いたいことを言い合える環境でした。僕のほうから“こういうふうに歌いたい”って提案した部分もありました。1Aの〈零れ落ちそうな涙 ただ掬われたかった〉のところは、もともと違う言葉が入っていたんですよ。でも、軽やかな印象を与えるために、韻を踏んだ感じにしたくて。“ながら”“涙”“たかった”というふうに、語尾を意識して歌詞を変えさせてもらいました」
■私はLDH脳なので、〈Some day〉からEXILEを、〈涙〉や〈空〉からGENERATIONSを連想したんですけど……。
「(食い気味に)それはLDH脳ですね!」
■あははは。ソロ曲のタイトル〈運命〉も入っていたので、てっきり今まで関わってきた楽曲を並べたのかなって思ったんです。
「(歌詞を読み)本当だ。僕としては、LDHのアーティストがやってこなかったような曲を目指して制作したつもりだったんだけどなぁ(笑)。でもその解釈を聞いて、それだけ普遍的というか、幅広く届く楽曲を歌ってきたヴォーカル人生だったんだなと実感しました」
続きはBACKSTAGE PASS 10月号でお楽しみください!!
『GENERATIONS LIVE TOUR 2024 “GENERATIONS 2.0”』
2024年9月8日(日)福岡・マリンメッセ福岡 A館
2024年9月21日(土)静岡・エコパアリーナ
2024年9月25日(水)神奈川・横浜アリーナ
2024年9月26日(木)神奈川・横浜アリーナ
2024年10月5日(土)広島・広島グリーンアリーナ
2024年10月6日(日)広島・広島グリーンアリーナ
2024年10月14日(月)東京・国立代々木競技場 第一体育館
2024年10月15日(火)東京・国立代々木競技場 第一体育館
2024年10月19日(土)大阪・大阪城ホール
2024年10月20日(日)大阪・大阪城ホール
2024年11月9日(土)兵庫・ワールド記念ホール
2024年11月10日(日)兵庫・ワールド記念ホール
https://gene.exfamily.jp/s/ldh04/page/l_tour2024
片寄涼太
かたよせりょうた。6人組ダンス&ヴォーカルグループ・GENERATIONSのメンバー。’12年11月、シングル「BRAVE IT OUT」でメジャーデビュー。’20年1月、ソロとして初の配信シングル「Possible」をリリースした。現在、GENERATIONSのアリーナツアー『GENERATIONS LIVE TOUR 2024 “GENERATIONS 2.0”』を開催中。
公式サイト
https://m.tribe-m.jp/artist/index/37
CD+DVD ¥2,200
CD ¥1,210
01. tenkiame
02. 今夜はブギー・バック feat. eill / prod. Shin Sakiura
03. tenkiame(Instrumental)
04. 今夜はブギー・バック feat. eill / prod. Shin Sakiura(Instrumental)
https://amzn.asia/5Rp7RAL