2015年結成で、2021年から現在のメンバーで活動している大阪の4人組が満を持して1stフルアルバムをリリース。「ロックンロール・スーパーノヴァ(Album Ver.)」他、インディーズ時代の代表曲も含む全13曲がリスナーに印象づけるのは、バイハンことBye-Bye-Handの方程式が持つロックバンドとしてのポテンシャルだ。〈ロックンロールの神様 お願いここまで来てよ〉と歌いながら、音楽的な所信表明をした1曲目の「ソフビ人間(Album Ver.)」をはじめ、青春パンクをバックボーンに持っていると思しき汐田泰輝(Vo.&G.)が作る曲をユニークなものにしているのが、青春のあれこれを屈折交じりに歌う汐田の言語感覚と楽器隊の3人のプレイヤビリティ。その2つがこのアルバムの世界観に広がりを与えている。4つ打ちのドラムが跳ねるポップソングの「春のチャンス」、ハードロッキンなギターリフとフラッシーなギターソロが鳴る歌謡ロックの「タヒ神サマ」からもアレンジの閃きは窺えるが、それをさらに上回るのが「妖艶さん」と「あかいろのともだち」。バラードと思わせ、曲の後半、ファンクになる前者。ワルツのリズムのバラードがオーケストラルポップに発展する後者。ともにバイハンがプログレ感覚を持っていることを物語っているが、結成からこれまでバンドの音楽性を磨き上げながら、パンクとも言える勢いを失わなかったところが頼もしい。それはライヴハウスで切磋琢磨してきたバンドの矜持なのだと考えたい。(山口智男)
album
No Big Deal Records
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