2018年の始動から7年、今年6月18日にシングル「BLAST」でメジャーデビューするダンス&ヴォーカルユニット・ONE N' ONLY(通称:ワンエン)。B-PASS本誌でも始動当初から取材してきた彼らが、5月9日・10日に初となる日本武道館公演を開催した。ここでは、初日の5月9日公演をレポートする。
本公演は4月よりスタートしたツアー『LIVE TOUR 2025 ||:ONE N’ ONLY:||』のファイナル公演であり、メジャーという新たな世界に羽ばたく彼らにとっては始まりの一歩でもある。それを示すように、他の会場では外れることのなかった、ツアータイトルに記された鎖がついに外れるという映像演出からスタート。レーザービームや特効が期待を煽るなか、リフターに乗った5人がステージに姿を現わすと、リーダー兼ラッパー・HAYATOの「『LIVE TOUR 2025 ||:ONE N’ ONLY:||』ファイナル日本武道館、さあ始めようか!」を合図に宴が幕を開けた。
この日の1曲目は、ホールツアーではセットリストの最後を飾っていたパーティーチューン「BOOM BASH」。4月に先行配信された同曲は、メジャーデビューシングル「BLAST」にも収録されている。ド派手な登場シーンの裏では内心リフターの高さに怯えていたメンバーもいたそうだが、各々の見せ場が詰まった楽曲だけに、たびたび嬉しい悲鳴が上がり、場内は一気に熱を帯びていく。グループカラーの黒と赤を用いた煌びやかな衣装と、リードヴォーカル・TETTAが伸びやかなハイトーンで歌い上げる〈Move on to the next stage〉が、ワンエンの意志の強さを象徴していた。
すかさず「YOUNG BLOOD」「DOMINO」と中毒性の高いアッパーチューンが続き、「Set a Fire」では、ステージに散らばったメンバーたちがSWAG(ファン)と一緒にコール&レスポンスを楽しむ。そこに、ワンエンの持ち味であるJ-POP+Latin POP=Jatin Pop(ジャティンポップ)を全面に打ち出した「Fiesta」が投下されると、実際に異国の祭りに参加しているような空気感に。この曲の歌詞にはさまざまな国の言語を織り交ぜてあるのだが、TETTAが歌う〈大丈夫できるよ〉には、彼らがこれまで歩んできた7年や、メンバー自身へのエールが込められているように感じられた。
……というのも、ワンエンは武道館に立つにあたり大きな課題を抱えていた。その1つが、ヴォーカル・REIの足のケガ。愛知・大阪公演では一部参加という形をとっていただけに、武道館2daysを無事に行なえるのか危ぶまれていた。しかし、武道館初日に「Fiesta」を披露した際、我々の予想に反して、REIは元気いっぱいに「武道館、調子はどうだーい!?」と呼びかけた。もちろん絶好調とは言えなかったのだろうが、この空間が楽しくてしかたない!という笑みがこぼれる。
そんなREIに続いて、他のメンバーも次々にSWAGへのメッセージを叫んでいった。俳優としても活躍中のラッパー・NAOYAは「今日は俺らがみんなをメロメロにしちゃうから、よろしくな」と甘いセリフでSWAGをとろけさせ、HAYATOは「俺らも気合い入ってるから、最後までもっとアゲていこうぜ!」と荒々しくシャウト。可愛らしいイメージだったデビュー当時から一転、今ではグループで一位二位を争うほどの肉体派ヴォーカルとなったEIKUが「とりあえず、盛り上げるわ!」とヤンチャな笑顔を見せると、SWAGとメンバーによる〈Oh-e-o〉コールが場内に充満した。さらに、歌唱力に定評のあるTETTA・EIKU・HAYATOによるダンスブロックもあり、マルチな才能を発揮していた。
時間をテーマにしたVTRを挟んだ後、真っ白な衣装で再登場した5人が最初に届けたのは「DEJAVU」。VTRの世界観とリンクした歌詞を、時に透明感溢れるファルセットで、時に情熱的な歌声で表現していく。お祭りムードで盛り上げた序盤から一転、ここからは繊細かつアダルトな雰囲気のブロックに入ったようだ。衣装をめくり上げながら挑発的なダンスをするHAYATOに黄色い声が上がったのも束の間、曲終わりの静寂に思わず息を飲む。次の瞬間、暗闇に一筋の光を差し込むようにTETTAが歌い始めたのは、3ヴォーカルの鋭い歌声が映える「The Light」。続く「Hunt」も、観客の心を奪おうと全力で食らいつくようにパフォーマンスするメンバーたち。その迫力には圧倒されるばかりで、1人残ったHAYATOが光に吸い込まれるようにステージを去ると、SWAGはしばらく余韻に酔いしれた。
そこにピアノの音色と穏やかなREIの歌声が舞い込み、バラード「Only One For Me」へ。メンバー脱退を経た2020年、新体制で再始動するワンエンを支えた同曲の歌詞には、グループ名やファンネームが織り込まれており、この日もメジャー進出への意気込みを宣言するように、HAYATOの〈絶対になってやるONE N’ ONLY〉が響き渡った。
本編中盤のVTRでは、グループのオフィシャルキャラクター・スワッくんによるコミカルなトークタイムも。スワッくんの友達としてキャラクター化したメンバーが登場すると、メンバーの特技などを紹介するスワッくんに対し、宇宙語で返答するメンバーのやり取りに笑いが起きる。なぜかTETTAにのみ、「TETTAはいつも頑張ってるよな。えらいよ、マジで。特に言うことはなし! そのまま突き進め!」と甘々コメントを送るというボケには大爆笑が起こった。
すると、「スワッくん、ありがとー!」「おい! TETTA贔屓しすぎだろ!(笑)」と叫びながら、デニム地の衣装に着替えたNAOYAが登場。他メンバーも続々と現われ、程よいゆるさが心地よい「Video chat」に突入した。コロナ禍真っ最中の2021年、“会えない分までハッピーに踊って歌おう!”という想いを込めて発表した同曲があったからこそ、今、こんなにもハッピーな光景を見られているのだろう。SWAGがゆったりと振るペンライトの光が、楽しそうにじゃれ合うメンバーを照らす。そのハジけるような笑顔は、EIKUのグルーヴィーなヴォーカルから始まった「LUCKY」でますます輝いた。
「SWAGのみんな、ブチ上がってますかー!?」
HAYATOの煽りからMCタイムが始まった。1人ずつ自己紹介やコール&レスポンスを楽しむと、話題はEIKUがデザインしたという衣装の話へ。デニムのセットアップをカラフルな布でリメイクしたという衣装には、メンバーからリクエストされた数字や文字が配置されている。NAOYAはワンエンの結成日である“429”。EIKUは“Rock”。HAYATOは背中にデカデカと“8810”(はやと)。TETTAは“with SWAG Forever”。
REIは「武道館で夢が叶ったので、また夢が叶うように」と“dream will come true”。それぞれの想いを纏いながらパフォーマンスしていたことを明かした。また、メンバーが主演を務めた映画『BATTLE KING!! Map of The Mind -序奏・終奏-』など、近年の俳優活動についてもトークを展開。グループ活動だけでなく、個人活動や、それを応援してくれているSWAGへの感謝を噛みしめながら、HAYATOは「改めてこの景色を見て頑張ろうって思えたので、これからもワンエンのことを応援してもらえたら嬉しいです!」と語った。
さて、ここから早くも後半戦。カッコいい煽りで再び勢いをつける……はずだったのだが、TETTAのたどたどしいMCで笑いを誘ってしまうところが、なんともワンエンらしい。HAYATOが「アリーナいけますか!?」「1階!」「2階!」「立ち見!」の流れで「関係者~!」と呼びかけると、関係者席からもSWAGに負けじと大きな声が返ってくる。すかさず「ありがとうございます!」と頭を下げる、キラキラスマイルの好青年たち。終始熱狂的な盛り上がりを見せていた武道館公演だったが、この掛け合いも、どれだけ多くの人にワンエンが愛されているかを実感させた。
そして、「ONE N’ ONLY、7年目もまだまだ突っ走っていくぜ!」と言い添えた「Map of The Mind」を筆頭に、「Good Day」「Nice Guy」「YOU???」「HOLIDAY」「Freaking Happy」をメドレー形式で披露。メンバー全員でのユニゾンパートが新鮮な「Nice Guy」は、自然と客席からコールが沸き起こり、会場が1つに。長年ライヴ定番曲となっている「HOLIDAY」には、メンバー1人1人の名前などを叫ぶお決まりのパートがあり、約束の地・武道館に5人の名前が打ち上がった。
それでも、まだ足りないといった表情でNAOYAが煽ると、タオル回し曲「Step Up」からさらにヒートアップ! EIKUやREIの清涼感あるヴォーカルが爽やかな風を吹き込む中、メンバーもSWAGも体力の限界を超えて暴れ倒す。TETTAの初主演映画『100秒の拳王 -ケンカバトルロワイアル-』の挿入歌であるロックチューン「Fight or Die」では、メンバーの歌声に呼応するようにファイヤーボールが上がり、HAYATOのキメ台詞が「OPEN」の始まりを告げると、ひと際大きな歓声が響いた。
デビュー時、J-POPとK-POPの魅力を詰め込んだ“JK-POP”をコンセプトに掲げていた彼ら。それが今、アグレッシブなバンドサウンドを背負い、堂々たる出で立ちでハードロックを歌い上げている。グループの火付け役・HAYATOと共に、「OPEN」で特に印象的だったのは、歪んだ歌声で、ヴォーカルとしての引き出しの多さを見せつけたREI。続く「Burn it out」では、“Rock”の文字を衣装に刻んだEIKUが前のめりで歌唱する姿や、TETTAがNAOYAと額を合わせながら歌唱する姿などが、SWAGの視線を奪っていた。とはいえ、本編最後に届けるのはやはり“ワンエンの王道”と言えるラテン調のダンスチューン「EVOL」。特効がBLAST(爆発)し、火花が舞う中で〈EVOL!〉コールが繰り返される様は、まるで南米で行なわれる祝祭のように映った。
アンコール1曲目。REIが「今日はこの曲を届けたいと思います。SWAG1人1人に届きますように!」と紹介して歌い始めたのは、彼が出演するドラマ『子宮恋愛』のオープニング主題歌「Bittersweet」。それぞれが違った動きで上下するリフターに乗り、甘いラブソングを届ける5人。優しく降り注ぐ愛のメッセージはSWAGをときめかせたことだろう。
最後のMCでメンバーたちは、自分自身の言葉でもSWAGへの想いを伝えた。リーダーのHAYATOに促され、最初にマイクを握ったNAOYAは「いやぁ、ここまで来るのに7年かかりました。僕たちは地道に一歩一歩SWAGと歩み続けて。だからこそ、この達成感になりました」と語り、思わず涙。「僕はSWAGのことも大好きですし、メンバーのことが大好きです。なので、僕たちはここで止まるわけにはいきません。もっともっと上に行って、SWAGと最高の景色を見たいと思います」と宣言する。
足のケガで出演が危ぶまれていたREIは、SWAGやメンバーからの応援を受けて、足の痛みが良くなっていったことを明かした上で、涙で言葉をつまらせながら「7年前はなんでも1人でできると思ってました。愚かでした。でも今はメンバーが本当に支えてくれていて……すごく良いヤツらに囲まれたなと。絶対大事にします、こういう出会いは」と語り、照れ笑いを浮かべた。
ツアー初日から多くのプレッシャーを抱えていたというEIKUは、その重圧から解き放たれたように一言目から大号泣。これまでの苦難や反省を口にしながらも、涙を振り切るように「このメンバー全員でどんなことも乗り越えてこられたし、SWAGがどんな時も笑顔で応援してくれるから、僕も頑張れました」「これから先もきっといろんな試練があって、皆さんの中にも、もしかしたら今ツラいけど笑顔でいようって思ってる人がいるかもしれません。でもそういう時には、僕たちがどんな人よりも近い距離でみなさんを支えますので! これからも応援のほどよろしくお願いします」と力強く呼びかける。
いつもはムードメーカーとして明るく振舞っているTETTAも、この日ばかりは涙ぐみながら「俺はこれからもコイツらと一緒に、おじいちゃんになってもずっといたいし」と語り、SWAGに対しても「普段はあんまり言わないけど……本当にみんなのことが大好きです。だから、これからもワンエンの傍にいてほしいし、俺らも傍にいたいって思われる存在でいられるように頑張ります」と愛を届ける。
そんなメンバーたちの想いをしっかりと受け止めたリーダー・HAYATOは、「7年も活動してると、いろんな出会いや別れがあります」と切り出し、「どんなに変化しても、僕らは変わらず唯一無二のアーティストを目指し続けます。そして、なによりここにいるみんなが、僕らにとってオンリーワンな存在です。ここまで、SWAGのみんなからたくさんの愛や元気をもらって、なんとか踏ん張ることができました」と改めて感謝。
「これから先、SWAGがツラいことや逃げたくなるようなことがあっても、僕らが全力で守るので。ツラかったらいつでもライヴに遊びに来てほしいし、SNSで連絡してきてください」というフレンドリーすぎる発言には、ドッと笑いが起こっていたが、「この手をしっかりと握りしめて、強く歩んでいきたいと思います。ONE N’ ONLYはもう立ち止まらないから。本当に覚悟のツアーでした。改めて覚悟を決めてONE N’ ONLYとして、もっと大きなステージに連れていくんで、これからも絶対についてきてください!」と呼びかけると、頼もしい言葉に大きな拍手が贈られた。
そして「今日ここまで持ってきたすべての愛を、全力でみんなに届けたいと思います」と添えて、ラストナンバー「My Love」へ。パッとライトアップされた客席を見渡しながら、SWAGによるサビの大合唱を全身に浴びるメンバー。その表情はじつに満足そうで、金テープが華やかに舞うなか、最後に5人で巨大なハートポーズを作ると、お決まりの「以上、ONE N’ ONLYでした!」でライヴを締め括った。
メンバーが捌けた後、ステージのLEDモニターには「TO THE NEXT EPISODE」の文字が残され、次なる展開を予感させる演出に、早くも場内は大賑わいとなった。新たな扉を開いたワンエンは、メジャーデビューシングル「BLAST」でどんな挑戦を見せているのか。その先にどんな景色を見据えているのか? 武道館公演を終えた5人が語る、次号『B-PASS 2025年8月号』(6月27日発売)でのインタビューもお楽しみに。
[SET LIST]
01. BOOM BASH
02. YOUNG BLOOD
03. DOMINO
04. Set a Fire
05. Fiesta
06. DEJAVU
07. The Light
08. Hunt
09. Only One For Me
10. Video chat
11. LUCKY
12. Map of The Mind/Good Day/Nice Guy/YOU???/HOLIDAY/Freaking Happy
13. Step Up
14. Fight or Die
15. OPEN
16. Burn it out
17. EVOL
〈ENCORE〉
18. Bittersweet
19. My Love
LIVE TOUR 2025「LUMINA」
9月20日(土)宮城・仙台サンプラザホール
10月11日(土)東京・東京国際フォーラム ホールA
10月12日(日)東京・東京国際フォーラム ホールA
10月16日(木)大阪・大阪国際会議場(グランキューブ大阪)
10月17日(金)大阪・大阪国際会議場(グランキューブ大阪)
11月3日(月・祝)福岡・福岡サンパレス
11月8日(土)愛知・愛知県芸術劇場 大ホール
11月9日(日)愛知・愛知県芸術劇場 大ホール
11月29日(土)神奈川・ぴあアリーナMM
11月30日(日)神奈川・ぴあアリーナMM
https://one-n-only.jp/live/live31802/
ONE N’ ONLY
ワンエンオンリー。5人組ダンス&ヴォーカルユニット。’18年11月に1stシングル「I’M SWAG」でデビュー。’23年5月に2ndアルバム『Departure』を発表した。’25年6月18日にメジャー1stシングル「BLAST」をリリースする。9月より『LIVE TOUR 2025 「LUMINA」』を開催予定。
公式サイト
https://one-n-only.jp/
初回限定盤A CD+BD ¥1,980
初回限定盤B CD+BD ¥1,980
通常盤 CD ¥1,320
初回限定メンバーソロ盤 CD ¥1,320
01. BLAST
02. Bittersweet
03. BOOM BASH
https://bio.to/1stCD