icon-sns-youtube icon-sns-facebook icon-sns-twitter icon-sns-instagram icon-sns-line icon-sns-tiktok icon-sns-etc
SEARCH

FANTASTICS グループの現在地と覚悟を見せつけたツアーファイナルをレポート!

Live

2024.07.25

  • facebook
  • twitter
  • LINE

2月11日の三重を皮切りに、8ヵ所15公演行なわれたFANTASTICS初のアリーナツアー『FANTASTICS LIVE TOUR 2024 "INTERSTELLATIC FANTASTIC"』。“THE FINAL”と銘打たれて行なわれた千葉・幕張メッセ国際展示場ホールでの追加公演は、急スピードで前進するFANTASTICSの現在地と覚悟が感じられるライヴだった。
Text 瀧本幸恵 Photo ヨシモリユウナ
メインステージ背面の巨大ビジョンに、ロケットに乗って宇宙へ飛び立つような映像に続き、“THE FINAL”の文字が大きく映し出されたところからライヴはスタートした。突然、目の前に現れたメンバーは、メインステージから客席の中心に設置されたセンターステージに向かう花道に並ぶ。
1曲目「STARBOYS」のイントロが鳴り、八木勇征が「行くぞ、ファイナル!」と叫ぶ。宇宙服をイメージさせるような派手なイエローとブラックをメインにした衣装をまとい、それぞれの場所で歌い、踊るメンバー。宇宙をモチーフにしたスペイシーな雰囲気のあるアップテンポのナンバーで、FANTARO(ファン)たちのボルテージも上昇。間奏では中島颯太が「“THE FINAL”へようこそ。準備できてるか!」と煽り、メンバーはメインステージに移動するとさらにギアを上げたパフォーマンスを繰り広げる。
生バンドの演奏により「STARBOYS」のアウトロからシームレスに繋がり、2曲目は「OVER DRIVE」。八木と中島の先導で早くも観客とのコールアンドレスポンスが起こる。パフォーマーは全力で踊り、全力で花道を駆け抜ける。その熱に負けじと観客もクラップし、腕を振り上げていた。
「今日、本当のラストです。今までで一番最高のライヴ、したくないですか?」
中島の呼びかけに大きな声で応える観客へ向け、アゲ曲を連打する。「Tell Me」では円形のセンターステージを活かし、パフォーマーはぐるりとステージの縁に並んでそれぞれの目の前にいる観客に向かってパフォーマンスを届ける。「PANORAMA JET」では、八木が「皆さんのもとに行きますよ!」と予告すると、メンバーが次々とステージを降りて客席の中へ。観客とハイタッチなどをしながら、会場後方にあるお立ち台まで歩いていく。目前に迫るメンバーの姿に各所から悲鳴に近い歓声も上がりつつ、〈ジャンプ〉という歌詞では、会場が一つになってジャンプを合わせた。
オープニングからまだ4曲というのに、メンバーは花道→メインステージ→センターステージ→客席と広い幕張の会場を次々と移動。ビジョンにその姿が映し出されると、既に汗だくになっているのが見て取れる。個人的にこのツアーの有明アリーナでの公演も観させてもらったのだが、ここまでですでに演出やセットリストが変更になっている箇所があり、この“THE FINAL”のためだけに改めてライヴが再構築されたことがわかる。
ドラムのリズムにギターが加わり、徐々に盛り上がっていくイントロアレンジがされていた「Drive Me Crazy」では、メンバーは客席からセンターステージ、そして、メインステージへと1曲で大移動。間奏部分では、バンドの演奏によってパフォーマー1人1人にスポットが当たる場面も。また一瞬、演奏を止めてヴォーカルの声だけになる部分などもあり、生バンドの演出が効いていた。
映像を挟んで、衣装をホワイトとスカイブルーを基調とした爽やかなものにチェンジ。ここからは前半の激しいブロックから打って変わって、1曲1曲の物語の中へ観客をいざなうような楽曲を披露していく。水の中に潜ったような映像から始まった「Hey, darlin」では、八木の美しいファルセットが広い会場の隅々まで響く。ビジョンに歌詞を表示して、メッセージを強く伝えた「BABY ROSE」では、ステージがバラ色に染まる。〈運命だって超えてゆける〉という八木のアカペラの歌い出しから始まった「Sugar Blood Kiss」は、バンドアレンジと八木、中島の熱を帯びた歌い方によって原曲よりも想いの強さが胸に届く。FANTAROと一緒に歌った「It's all good」「Flying Fish」まで、彼らがデビューから5年間、さまざまなジャンルの楽曲にチャレンジし続けてきたからこそ表現できたステージだった。
ここで一旦、パフォーマーがステージ裏へ下がり、ヴォーカルによるブロックへ。メインステージにスモークが立ち込め、グランドピアノの前に座る中島が「Turn to You」の静かなイントロを奏で、そのまま弾き語りのスタイルで歌う。椅子に腰かけた八木が、中島のピアノに呼吸を合わせた柔らかな歌声で続く。いつも以上に切なさと儚さが増した2人だけの歌と演奏で1コーラスを披露すると、後半はそこにバンドの音も加わる。歌声も力強くたおやかになり、1曲の中で徐々に彩りが増していくような感覚を味わった。
もう1曲、中島が出演した東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『おっさんのパンツがなんだっていいじゃないか!』オープニングテーマ「アプデライフ」も2人で披露。こちらはFANTASTICSには珍しい明るくほのぼのとした雰囲気の楽曲で、2人の弾むような楽しい歌声を堪能させてくれた。
ライヴは後半に突入。再びギアアップしたステージが始まった。衣装もメンバーそれぞれの個性に合ったヒップホップスタイルのものに着替え、まずはパフォーマーによるダンストラックから。瀬口黎弥がMCを務め、煽りまくる。6人、ペア、ソロと見せ方も変えながら、個々のスキルを遺憾なく発揮し、会場を盛り上げる。
その勢いのまま、7月17日発売のミニアルバム『Temporal Transition』収録の「SPLASH」を披露。ドラムとベースでリズムを強調するロックテイストのアレンジで、イントロから拳を突き上げたくなるような高揚感がある。
「まだまだ飛ばせるか、幕張!」
八木のアジテーションに呼応するFANTARO。疾走感と力強さのあるフレーズから、一転して、流れるようにファルセットを聴かせるパートもありつつ、1曲を通してテンションを上げていく。そこからは怒涛のメドレーになだれ込む。「Can't Give You Up(Remix)」など、ライヴアレンジされた楽曲が並び、コールアンドレスポンスが何度も起こる。メンバーは再び客席に降りて散らばり、観客の近くで煽りまくる。この“THE FINAL”のために用意されたであろう「Summer Bike」「Summer drops」という夏の定番曲も飛び出し、メンバーも自転車に乗って客席を巡ったり、水鉄砲で水をまいたりと大はしゃぎ。「CANNONBALL」では、佐藤大樹と木村慧人がボーリングピンとボールに扮したコント風!?の演出もあり、笑いも提供。とにかく、FANTAROを楽しませるために全身全霊で挑むメンバーの姿が印象に残った。
「次にやる曲は僕達FANTASTICSの新曲になります! 一度聴いたらノリに乗って楽しんでいける曲だと思います」という八木の紹介から、新曲「SUPER DUPER DISCO」も投下。FANTASTICSの冠番組『FUN!FUN!FANTASTICS SEASON4』主題歌に起用されている楽曲で、懐かしさもあるダンスナンバーだ。歌詞に〈ディスコ〉というフレーズもあるが、FANTARO も“ノリに乗って” ディスコのように体を揺らす。本編ラストは、誰もが歌い踊れる「Choo Choo TRAIN」に、今やFANTASTICSのライヴには欠かせない爆上げ曲となった「ギリギリRide it out」と定番曲で最高の一体感を作って、メンバーはステージを後にした。
アンコールは、新曲「ブレイクライン」から。佐藤、瀬口、中島が出演する公開中の映画『逃走中 THE MOVIE』ファイティングテーマとなっており、会場に“ハンター”が登場し、客席をパフォーマーが逃げ惑いながら、集めたアイテムでヴォーカルを救い出すという粋な演出も。生バンドの演奏により疾走感のあるロックサウンドがパワーを増し、アウトロでのヘドバンも気合が増している。続く「Peppermint Yum」は、センターステージでのフォーメーションダンスに加え、間奏ではパフォーマータイムもあり、アンコールでもまったく手を緩めないFANTASTICSの気概を感じた。

最後のMCではメンバー同士で、和やかに会話をする。新たに発表となった仮面ライダーの主題歌決定を、世界が興奮気味で報告したり、八木の単独初主演映画の主題歌に決まったことなどに触れつつ、ツアー中のちょっとしたハプニングを振り返ったり、ツアーを通して感じたことを明かした。
そんな中、八木はこの日、FANTAROたちの盛り上がりを目の当たりにしたことで「もっともっと上に行けるなと確信しました」と述べ、「どうやったら皆さんと一緒により明るい未来、楽しい思い出を作っていけるか、もっとビックなステージに上がっていけるかを考えながら、これからも毎日、毎日、一生懸命頑張っていきたい」と決意を語った。

中島は想いを綴った手紙を読みながら心境を吐露。「一度きりの人生でこのメンバーと出会い、毎日、FANTAROの皆さんと繋がれることを誇りに思います」などと明かしつつ、「目の前に広がる景色を目に焼き付けてください。ありがたい環境に感謝してください。今、目の前にいる出会ってくださった方達を人生かけて幸せにし続けてください」と自分自身へのメッセージも残した。

そして、この日の最後を飾ったのは「FANTASTIC 9 -Orchestra Version-」。このツアーのためにFANTASTICSのアンセムと言えるこの曲をオーケストラバージョンにアレンジ。より壮大な世界観となって届けられる。天井にはレーザーの光によって星空のような景色が広がり、多幸感に満ち溢れたエンディングとなった。
最後、去り際にパフォーマーたちも一言ずつ、FANTAROへの感謝の言葉を伝える。
「これからも進み続けるので、これからもついてきてください」(澤本夏輝)
「FANTASTICS9人と、FANTAROの皆さんでどんな夢でも叶えていきたいと思います」(木村慧人)
「僕たちのライヴに来ていただけたら、必ず、後悔せずに帰っていただけると思うので、これからも僕たちについてきてください」(佐藤大樹)
「もっとたくさんのエンターテインメントで皆さんに幸せ、たくさんの愛をお届けできればと思っています」(瀬口黎弥)
「この間、翔太くんの命日だったから、9人でここに立てたらよかったなって思ったけど、皆さん1人1人が翔太くんの代わりになって僕らを支えてください。お願いします」(堀夏喜)
「もっともっと僕らも大きなステージに立てるように成長したいと思いますので、その時まで元気で、お会いしましょう」(世界)
瀬口の胸に抱かれた“ファン太郎”とともに、9人は映像の青空の中に吸い込まれていった。
FANTASTICSにとって最大規模となった今回のライヴは、幕張メッセというホールやアリーナなどの“観覧”用に作られた会場ではなかったため、正直、これまでのようにはステージが見えなかった観客もいたと思う。これはファンが増え、会場が大きくなっていくアーティストが誰でも抱えるジレンマだが、本公演から今回の“THE FINAL”に際して変わったセットリストや演出を振り返ると、FANTASTICSがFANTAROのためにどれだけ力を尽くしたかが伺えた。中島もMCで「より皆さんに楽しんでもらうためにはどうすればいいかな?と試行錯誤した」と語っていたが、とにかく今、あるもののすべてを使ってFANTAROを楽しませようとしていた。そんなFANTASTICSからの想いが、最高の思い出になったと思う。

最後、会場には「2025年 Autumn Butterfly Effect」というアナウンスが流れた。これが何を指しているのかはわからなかったが、バタフライエフェクトとは、小さな出来事が、最終的に予想もしていなかったような大きな出来事に繋がるという意味だ。この日のライヴは決して小さなことではなかったが、来年秋、この日のことが「小さかった」と振り返られるような、大きな出来事が起こることを期待したい。
FANTASTICS LIVE TOUR 2024 "INTERSTELLATIC FANTASTIC" -THE FINAL-
2024.07.14.15 幕張メッセ 国際展示場ホール
[SET LIST]
01. STARBOYS
02. OVER DRIVE
03. Tell Me
04. PANORAMA JET
05. Drive Me Crazy
06. Hey, darlin
07. BABY ROSE
08. Sugar Blood Kiss
09. It’s all good
10. Flying Fish
11. Turn to You
12. アプデライフ
13. DANCE TRACK
14. SPLASH
15. Can’t Give You Up(Remix)/WHAT A WONDER(Remix)/Play Back – KO3 Remix/Tarte Tatin/Summer Bike/Summer drops/CANNONBALL
16. SUPER DUPER DISCO
17. Choo Choo TRAIN
18. ギリギリRide it out
〈ENCORE〉
19. ブレイクライン
20. Peppermint Yum
21. FANTASTIC 9 -Orchestra Version-
Mini Album『Temporal Transition』

Mini Album『Temporal Transition』

2024.07.17 Release
LIVE盤 CD+DVD ¥7,700
LIVE盤 CD+BD ¥7,700
MV盤 CD+DVD ¥3,000
CD ONLY ¥2,200

01. ブレイクライン
02. SPLASH
03. SUPER DUPER DISCO
04. Sugar Blood Kiss
05. アプデライフ
06. FANTASTIC 9(2024 ARENA TOUR ARRANGE)

https://FANTASTICS.lnk.to/TeTr_CD
FANTASTICS
ファンタスティックス。'16年、EXILEの世界、佐藤大樹をリーダーとして結成されたダンス&ヴォーカルグループ。武者修行を経て、'18年12月に1stシングル「OVER DRIVE」でメジャーデビュー。'23年12月、3rdアルバム『FANTASTIC ROCKET』をリリースした。
公式サイト https://m.tribe-m.jp/Artist/index/168
公式YouTube  https://www.youtube.com/channel/UCsYSgrycXw3JySaCXi4H71A

RELATED