コスプレパフォーマーとして動画配信サイトを中心に活躍中のはむこっとんさん。日本生まれ・アメリカ育ちの彼女が、LAで日本のアニメーションや2.5次元舞台に出会い、その魅力や楽しさを自らのパフォーマンスを通して発信し始めたのは2017年頃。今やアメリカ最大のアニメフェス『Anime Expo® 』のメインステージでパフォーマンスしたり、自らの名前を掲げたイベント『はむフェス』を開催するほどの人気者に。“はむこっとん”が生まれたきっかけや活動への想いをおうかがいしました。
ここはありのままで自分を出して大丈夫だよ、というスペースを作りたかったんです
■アメリカでコスプレパフォーマーとしてサブカルエンタメシーンで人気を集めているはむこっとんさん。お生まれは日本で、小学生の頃にご家族のお仕事の関係でアメリカに移住されたとか。
「はい。今は、地元のLAを中心にコスプレパフォーマー/YouTuberとして活動しています」
■LAで開催された『Anime Expo® 』のステージをはじめ、さまざまなアニメ系のイベントで活躍されているはむこっとんさんですが、元々はどのようなきっかけでキャラクターのコスプレやダンス動画を制作するようになったのでしょうか?
「小さい頃にラスベガスのシルク・ドゥ・ソレイユを観てたりして、元々舞台が好きだったんです。2歳のときに初めて言った将来の夢が“サーカスのお姉さんになること”だったらしくて(笑)」
『SPY×FAMILY』アーニャ・フォージャーのコスプレ
■幼い頃からパフォーマーに憧れていたんですね。そこからコスプレをしたい!と思ったのはなにかきっかけがあったのでしょうか?
「まず2.5次元にハマったんです。たまたまYouTubeのオススメに出てきて、“なんじゃこれは!?”と衝撃を受けたんです。こんな世界があるんだ!?って。アメリカではあんまり観ないカルチャーなので、アニメやマンガという2次元のものを3次元に持っていくっていう発想が新しいなって」
■初めてハマった2.5次元のコンテンツはなんだったのか覚えてますか?
「確か『薄桜鬼』だったんです。それとミュージカル『刀剣乱舞』。王道から入っていったんですけど、そこからいろいろ調べていくうちに声優さんにハマって。YouTubeに声優イベントの映像が流れてきて、それを観て声優さんってすごいな~!って。本職の演技、アフレコやイベントをやってるのにMCやトークもめちゃくちゃお上手なんですよね! 声優という仕事ってすごい!って感激しまして。そこから声優イベントを存分に楽しむためには出演されているアニメ作品を観なければ!という感じでアニメに辿り着いたという流れでした」
■声優さんの存在がまずあったんですね。
「はい。ちょうどその頃がコロナ禍あたりで。自粛期間中にいろんな生配信が多くなったこともあって、声優さんのトークや番組をたくさん観る機会が増えたんです。それもあってどんどん沼にハマっていきました」
■その時に一番チェックしていた声優さんはどなただったんですか?
「木村良平さんです。木村良平さんの息継ぎや声の演技が本当に素晴らしくて! 声そのものの響きも素晴らしいですし、細やかな心の動きを声で表現されている、その技術と感情演技があわさっているように感じるんです。さらにイベントや番組ではトーク力を発揮されていてタレントスキルも高く、賢くて思いやりのある方だなぁと。尊敬しかないです」
『ホロライブEnglish』がうる・ぐらのコスプレ
■だいぶ濃い……。そこで声優というお仕事に興味を持たれて。
「はい。2.5次元舞台~声優~アニメという流れとは別で、小学生の時に友達が教えてくれたK-POPにめちゃくちゃハマったんです。歌って踊る“アイドルグループ”という存在も一般的なアメリカの人たちにはその当時は全然馴染んでなくて。最初の入りはSHINeeの第二世代の最後のあたりで、小学生の時は教えてくれたお友達と一緒にハマってたんですけど、小学校を卒業したら別々になってしまって、ひとりで推し活してたんです。後々BTSが人気になってきて、アメリカでも少しずつK-POPの存在が知られるようになったくらいだったので、自分で『K-POPクラブ』を立ち上げたんです。3人くらい集まってくれればいいなぁと思って始めたら、30人も仲間が集まったんです! その時に、共通の好きなことをおしゃべりしたり一緒に楽しむことができる、こんな平和ですばらしい集まりを作ることができるなんて!とすごく嬉しくて。そこからK-POPクラブでいろんなイベント企画を考えて運営したり、発信をするようになって、ソーシャルメディアとの付き合いが深くなっていきました。そのあたりから、ちょうどアニメや声優にハマっていって、『コスプレをしてダンスしている動画をSNSに投稿する』という今のスタイルが始まりました」
■最初のコスプレダンスパフォーマンスの投稿内容は覚えていますか?
「アニメ『東京喰種トーキョーグール:re』の曲でした。私が振付を付けて、友達のコスプレイヤーと一緒にコスプレしてダンスを付けたものをYouTubeにアップしました。その後くらいにLAで日本のアニメカルチャーを紹介する『Anime Expo』というイベントがあることを知りまして、親にお願いしてチケットを取ってもらって。たぶん梶裕貴さんが登壇された年なので2018年だと思います。そこで“パブリックダンス”という一般人が参加できるコーナーがあったので、初音ミクのコスプレをして参加しました。そうこうしているうちにYouTubeを観た日本の友達から連絡が来て、“実は私もコスプレしているので、あなたが日本に来れるならイベントで一緒にコスプレしない?”と誘われて。その時も初音ミクのコスプレをして、友達がヴォーカル、私はダンスパフォーマンスを担当して出演しました」
[hamu_cotton] Public Dance at Anime Expo || Hatsune Miku 初音ミク - FREELY TOMORROW【LAのアニメエキスポで 踊ってみた】
[hamu_cotton] Chika Dance, Renai Circulation, KDA || Cosplay Performance @ZotCon
10年は修行! 若いうちはできることはなんでも挑戦していきます!
■企画を考えて、振付を考えて、ダンスもできて、コスプレもして、歌って、動画を撮って、編集して、配信して。はむちゃんひとりでコンテンツ制作のすべてをやってますよね。
「気がついたらそうなってたという感じなんです。コスプレ動画とは別に、いろんな仲間に声をかけて、好きなアニメの世界観と好きな楽曲を使用して勝手にMusic Videoを作ったりもしていて。舞台が好きなので台本もディレクションも自分でやりますし、映像編集も寝ずにずっとやったりしています。今は自分が表舞台に立ちつつ、裏方の作業も両方やっていますが、K-POPクラブを作った頃はイベントプランナーになる夢を持っていたんです。好きなものを思う存分みんなと語れる平和な場所を作りたい! ここはありのままで自分を出して大丈夫だよ、というスペースを作りたかったんですよね。学校でもマーケティングの勉強を専攻していました。なので、YouTube投稿は最初は単なる趣味のひとつだったんです。なので、将来的にYouTuber、インフルエンサーとして活動していくか、イベントプランナーとして企画するほうにいくか、進路で悩みました」
『僕のヒーローアカデミア』トガヒミコのコスプレ
■今はどちらもやっていますね。
「はい。年齢的に若いうちにいろんなことを経験しておくのは絶対無駄にはならないと思いますし、企画する側になった時に、演者を経験していたからこそわかる気持ちとかもあるだろうな、と思ったんです。なので、今はまず、やれることをやれるところまで頑張ってみよう!と思っています」
■それで今は歌にも挑戦しているという。
「はい、ほんとに全然自信ないんですけど……(汗)。私が歌に挑戦することで、よりいっそう楽しいことが増えるのであれば頑張りたいです!」
■今年7月にLAで開催された『Anime Expo 2024 in ロサンゼルス』ではメインステージでコスプレダンスパフォーマンスされたり、キングレコードのブースでカラオケ大会のMCで場を盛り上げていらっしゃったりと大活躍でした。
「キングレコードさんに大変お世話になりました。ブースのMCとしても起用していただきましたし、今年のAXに『ヒプノシスマイク』というコンテンツから石谷春貴さんと野津山幸宏さんがゲスト出演されていらっしゃっていたのですが、ありがたいことにはむこっとんとのコラボレーションムービーを制作させていただくというお話をいただいて!」
■すごいことですよね。
「本当にすごすぎるお話で、信じられない!という感じなんですが、これに関しては自分の中の“オタクはむ”を封印して、無感情で取り組みました。光栄なことにムービーの台本を任せていただけて。すごく楽しかったです! でも、実際に作っているときは、オタクとしてお2人にやってほしいことと、SNSでバズらせたいマーケターとしての気持ちが自分の中ですごく戦って。やっぱりオタクとしてはたくさんしゃべっていただきたい、でもSNSでバズるのは短い動画だから……。悩んだ挙げ句、ロングバージョンとショートバージョンの2本分を仕上げて、最終的にどちらでいくかをキングレコードさんに選んでいただきました」
■ご自身で裏方も出役もできて、マーケターとしてSNSでバズらせ方も知っている。ひとりでなんでもできちゃいますね。
「いつかはむこっとん主催の大きなイベントを開催するために、今後も経験を重ねていきたいです!」
■最終的には何年後くらいを目指していますか?
「10年後くらい……かな(笑)。10年は修行! 若いうちはできることはなんでも挑戦していきます! 今も『はむフェス』というイベントをちょこちょこ開催していて。小さな規模なんですけど、自由にいろんなことをやっていて楽しいんです」
■どんなフェスですか?
「いろんなお店とコラボして、限定メニューや限定グッズを作ったりして。自分でMCをしたり、ステージに出たり、お客さんと一緒にゲームをやったり。集まってくれたお客さんが暇になる瞬間がない、ずっと楽しい時間を過ごせるように、というのを心がけて企画運営しています」
■では、最後に。“はむこっとん”という名前の由来を教えてもらえますか?
「わー。良い質問ですね! “はむ”はハムスターが大好きだからです! 初めて飼ったペットがハムスターですっごくかわいく大好きで!」
■“コットン”は?
「水色が大好きで、青空的な言葉を入れたかったんですけど、はむブルーだとちょっとイメージが違っていて。白い雲が入った青空が好きだったので、ふわふわしている白い雲から“コットン”を引っ張ってきて、“はむこっとん”にしました。大好きなものを組み合わせた名前なので、日本のみなさんにも覚えてもらえるとうれしいです!」
Introduction! 自己紹介!【はむらじお Ep9】
◉Event Schedule
11/16-17 第10回富士山コスプレ世界大会
https://www.fujicos.com
11/24 アキコス Vol.92
https://www.akicos.com
11/30 『はむフェス』in 静岡
12/01 第16回こす★おふ
https://cosoff.focus-studio.jp