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SPYAIR 『Just Like This 2024』開催直前、スペシャルインタビュー!

Interview

2024.09.26

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「デカい野外のステージでワンマンライヴをすることです」
デビューを目前にしたSPYAIRにインタビューをした時、メジャーシーンで叶えたい夢についてこう答えていた。
インディーズ時代、地元・名古屋の栄公園でストリートライヴを繰り返してきたこのバンドにとって、広い場所での野外ライヴはひとつの夢だったのである。
のちに『JUST LIKE THIS』と名づけることとなる大会場の野外ライヴでSPYAIRは、掛け替えのない時間を刻んできた。YOSUKEがメンバーになり、ファンクラブ限定のワンマンライヴを名古屋、東京で挟んだものの、実質的に現在の4人での初ライヴは、2023年8月11日に富士急ハイランド・コニファーフォレストでの『JUST LIKE THIS 2023』だった。
その『JUST LIKE THIS』のルーツの場所、日比谷野外音楽堂で彼らは『Just Like This 2024』を行なう。
2月に発表した「オレンジ」がストリーミング累積再生数が1億回を越えるロングヒットとなり、このメンバーで国内外のツアー、イベントや音楽フェスへの出演と経験を積んできた彼らに話を聞く。
Text 大西智之

過去のどのSPYAIRの曲より、「オレンジ」はストリーミング再生されて。それはバンドの自信になった

■「オレンジ」のストリーミング累積再生数が1億回を越えるロングヒットとなったり、TVの歌番組で演奏されている姿を観たり。日常の中でSPYAIRの音楽を耳にする機会に結構出会いますし、そろそろ説明としてつけるのは“新生”と違った言葉のほうがしっくりくるように感じているんです。

MOMIKEN「“オレンジ”をきっかけにして、SPYAIRの音楽を聴いてくれる、動画を観てくれる、ライヴに来たいと思ってもらえる機会が増えているのはやっぱり嬉しいですね」

KENTA「実際、フェスとかイベントに出て、“オレンジ”を演奏した時のお客さんの熱が高くて。YOSUKEになってからのSPYAIRを認知してもらえたのはありがたいです。それでもやっぱり、いまだに“ヴォーカル変わったんだね!”と言われることもあるし、これから俺たちがどれだけ長い間叫んでも、一生伝わらない場所もありますよね。そういう意味でいつまで言ったほうがいいのか線を引くタイミングは難しいですが、ただ、バンドの中では“YOSUKEが入りました”とか言うのって、もういいよね、という想いはありますよ」

UZ「もともとあったSPYAIRというバンドにYOSUKEが入ってきたという事実があって。その過去のどの曲より、“オレンジ”はストリーミング再生されたりして、ある意味でこれまでを超えたし、今の日本ではこのSPYAIRのほうが多くの人に聴いてもらえていて。それはバンドの自信になったし、YOSUKEにとってもそうだと思うんです。最初から、“俺がSPYAIRのヴォーカルです”って自信を持って言ってもらってよかったんだけど、それはなかなか難しいことですからね」

YOSUKE「この先2年〜3年は“新生SPYAIR”って言い続ける必要がある、とバンド内で話したことがあったんですよ。でも、“オレンジ”で想像よりも早く、それを言わなくてもわかってくれる人が増えただろうし、先に今のSPYAIRを知ってから、遡っていく中で過去にヴォーカルが変わったんだ、と気づく人もいると思うから。ちゃんと胸を張れるようになってきました」

MOMIKEN「先日フェスに出て、旧知のバンドのベーシストが“SPYAIR終わったかと思ったよ〜”って声をかけてくれて、”俺らもっスよ”とか言ってたんです(笑)」

KENTA「そりゃ、そう思うよね(笑)」

■軽くそういう会話ができるところまで、来れたってことですよね。

MOMIKEN「そうなんです。冗談で言い合えるくらいまで来れたんだ、周りからもそう見えてるんだ、と思えました」

第1回目の日比谷野音で1曲目にやった「Rockin' the World」を、今の自分たちが作ったら、この体制で幕開けみたいな感じがする

■さて、今年も『JUST LIKE THIS』が近づいてきました。例えば2018年の和楽器を取り入れた「We’ll Never Die」だとか、各年の『JUST LIKE THIS』のテーマに添った曲を用意しておられます。今年の会場限定シングルのタイトル曲「FEEL SO GOOD」は洋楽に近い心地いい響きを持ったロックですね。

UZ「明確なテーマを持って作り始めた曲です。というのも、今年は『JUST LIKE THIS』のルーツでもある、第1回の2011年以来の日比谷野音(日比谷公園大音楽堂)で、あの時1曲目にやった“Rockin' the World”を、今の自分たちが作ったら、改めてこの体制で幕開けみたいな感じがする、と思ったんです」

■それはグッとくるものがあります!

UZ「そこで、“Rockin' the World”がオールドな洋楽っぽいロックだし、そういった曲を今年の『JUST LIKE THIS』で思いっ切りやりたいな、と。それに、“RE-BIRTH” “オレンジ”とこの4人になってからエモい感じの新曲が続いているから、あまり縛られるとこの先の自由度が狭まるなと思って、あえてタイプの違うオールドアメリカンなロックをこの時代に形にして、SPYAIRの音楽として受け入れられたら強みになるな、と」

■スタンダードと言えるロックであり、それを今の時代の中で鳴らされると、逆に意識が持っていかれるというか。

UZ「なかなか今のバンドからこういう音楽は聴けないし、新鮮ですよね(笑)」

■はい!(笑)

MOMIKEN「UZから曲が届いて、ここまで無骨なロックを今、SPYAIRで鳴らすのはカッコいいと思いました。ただ、YOSUKEが歌うことが想像できなくて、どんな感じになるのかな、と同時に感じていたんです。それはレコーディングしたら杞憂でしたけどね(笑)」

YOSUKE「自分は、上の世代のバンドが鳴らしているロックを聴いて育ってきましたし、これこれ!という感じで、どストライクでしたよ」

■わずかに打ち込みのリズムトラックが重ねられている場所があって、あとはサビにオルガンが入っている以外は生のバンドサウンドで構成されていますね。

UZ「そうなんです。テンポ的には、BPM140辺りで8ビートという。そういうロックをやりたかったんです」

■このテンポ感の8ビートをカッコよく鳴らせるのがSPYAIRですよね。

KENTA「SPYAIRは、EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)の世界的な波がいろんなバンドに影響を与えて、4ツ打ちが流行り始めた頃も、逆行して8ビートをずっと求められていたから(笑)」

MOMIKEN「確かに(笑)」

KENTA「むしろ、昔から8ビートをしっかり叩けないならドラマーじゃねえ、みたいな空気があったんです!(笑) そこで僕が追求してきたリズムで、得意ですから。この曲はワングルーヴ的なところがあって。リズムは変化するけれど、スネアとキックのパターンは基本的に固定されているんですね。こういうリズムを、きっちりカッコよく鳴らすのは難しいというか。カッコよく叩かなければ、カッコいい曲にならないというのが如実に出るんです。それができたし、こういう低音を効かせていく感じはSPYAIRの中でも懐かしくて、楽しかったです」
■オールドロックでありながら、ああいう音楽にある熱とはまた違った印象もあります。

MOMIKEN「そういう意味では、YOSUKEの声質もあって、新しく聞こえました」

UZ「曲を作っている時は、あえてダサいくらいの音楽をイメージしていたら、わりとカッコよくなったよね。その理由はYOSUKEの声もあるし、あと、音。めちゃくちゃカッコよくない!?」

KENTA「本当に音がいいし、パンチがあるよね」

UZ「最初のドラムの音から、超いい音!ってなる!」

■イントロ冒頭に少し打ち込みの音が鳴って、その直後に生のドラムが入った瞬間、音そのものに感動しました。ここまで音のよさにこだわって音作りするバンドも減ってきましたよね。そして、歌詞は〈どんなに 汗ばんでも〉とか夏の野外ライヴにぴったりの言葉が並んでいます。

MOMIKEN「そうなんです。あと、制作の最初にUZが、“立ち戻って、オールドロックをやりたい”と言っていたから、歌詞も文字だけ追った時に、どうやって歌うの?みたいなものにしようと思ったんですよ(笑)。そういうのをインディーから“Rockin' the World”の流れでやっていましたから。でも、こういう歌は本来、意図しているニュアンスがヴォーカリストに伝わりにくいんですよ。歌う本人が詞を書く場合はその問題がないんですけどね。でも今回はヴォーカロイドに仮歌を歌わせてデモを作ることで、譜割りとか詳細まで自分のイメージをYOSUKEに余すことなく伝えられました」

■その中で、〈君を照らしているよ スポットライト 目を奪われていたのは 俺の方かい?〉とか、ロマンチックなフレーズが紛れています(笑)。

MOMIKEN「それもオールド感ですよね!(笑)」

UZ「〈君を照らしているよ〉の前の言葉が、〈Oh Baby〉だし(笑)」

KENTA「〈Iʼm Crazy〉ってあったり(笑)」

MOMIKEN「そうそう! そういう言葉って今、歌詞でなかなか使わないよね!」

■MOMIKENさんがヴォーカロイドの仮歌を入れたデモを作ったこともあってでしょうけど、例えば、〈脳細胞も〉〈居ても立っても 居られない〉とか、全体的にYOSUKEさんのヴォーカルの響きやグルーヴが洋楽っぽいですね。

MOMIKEN「ここは母音を発音しなくていい、とか、歌の響かせ方ありきで言葉や歌い方を詰めて歌詞を書いているんです」

YOSUKE「こういうテイストの曲は、日本語の歌詞でも英語っぽく聞こえるように歌うと映えるし、カッコよく響かせられるんです。そういう意味でデモのニュアンスを含め歌にしっかり反映できました。それに、SPYAIRに入る前までの自分の音楽活動は英詞を歌う機会のほうが多かったこともうまく出せたと思います」

■そして音の引き算がなされたアレンジというか、重なっている音数が少ないですよね。この曲はオールドロックというテーマからそうしているんだと思いますが、世の中に、打ち込みのトラックが大量に同期している音楽が多かったところから、音数が少ないアレンジの曲が増えてきました。

UZ「SPYAIRにはいろんな音楽性、たくさんの魅力がありますから、音数が少ないことだけに傾倒するわけではないですけど。音数が少ないアレンジの曲はこの先もやっていきたいですし、バンドですから、そういった音楽の中で生の音をどう聴かせるか、突き詰めたいです」

■そういった新曲の到着が楽しみです。さて、カップリングにはYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』で演奏した「現状ディストラクション」と「オレンジ」が入ります。その映像はYouTubeにアーカイブとして残っていますが、自分たちのCDに収録してどういうことを感じましたか?

KENTA「『THE FIRST TAKE』の収録はかなり緊張したんですよ」

■本当に1回限りの一発録りで、別々のブースに入っているからメンバーの顔が見えない中での演奏だと前回のインタビューでおっしゃっていましたね。

YOSUKE「このCDに入れるにあたって映像なしでチェックしたんですけど、音だけになると余計に緊張している感じがダイレクトに伝わってきて。頑張ってるのが自分でわかるんですよ(笑)。そういうところも含めて、CDは音だけ聞こえるからこそ感じてもらえるものがあるので、それを楽しんでもらえたら、と思います」

MOMIKEN「そういう意味でYouTubeとはまた違う、いいアーカイブになりました」

■では、最後に今年の『Just Like This 2024』について、想いや意気込みを教えてください。

MOMIKEN「個人的には前回、日比谷野音に立った時はいろんなことが初めて過ぎて、うまくできなかった悔しさが残っているんです。当時この規模感でやるワンマンの野外ライヴが初めてでしたし、会場が石造りで音の反響が強いということで、初めてイヤモニを使ったんです。そういったたくさんのことに戸惑って、観に来ていた弟にライヴ後、第一声目に“お兄、緊張してた?”って言われたんですよ(笑)。そういったことをリベンジしたいです!」

UZ「“オレンジ”を出して、その後にツアーをやり、フェスに出させていただいて、バンドとして急激に成長できている手応えがあるんです。それを会場に来てくれた人にしっかり伝えたいというのが一番です。あと、個人的に俺も前回の野音は、頭が真っ白になったり、あのタイミングでスタッフが増えて慣れないことがいっぱいあったりして、悔しい気持ちがあるんですね。そういう心残りに対しての区切りをつけるという意味でもしっかりやりたいです」

KENTA「このイベントは懐かしい曲、来てくれる方が聴きたい曲をやる場所ですし、今回もそういったものを準備していますから。楽しんでほしいです。そして、僕も2人と同じく悔しさというところで、“Rockin' the World”を失敗してるんです」

UZ「そうだったっけ?(笑)」

KENTA「一聴ではあまりわからないんだけどね(笑)。フレーズがひとつ飛んで、それが映像作品でずっと残っているんです。だから“FEEL SO GOOD”では絶対に失敗しないぞ、と思っています。この曲のドラムはシンプルとはいえ、緊張すると飛んだりしますから」

■YOSUKEさんは日比谷野音に立つのって初ですか?

YOSUKE「そうなんです。だから、日比谷野音は自分にとって最初で最後になるかもしれないんですよ」

■1年延長されたとはいえ、2025年の秋に使用休止になると言われていますね。

YOSUKE「より全力でまっとうしたいですし。あと『JUST LIKE THIS』に関して、僕自身は今回がスタート、と思っているんです」

KENTA「去年は、YOSUKEがSPYAIRに入ってからほぼ4ヵ月で富士急のステージだったからね!」

YOSUKE「そういう意味で、去年はお披露目みたいなところが強かったですから。あれからSPYAIRとしてツアーをやったり、フェスに出演したりしてきた時間や経験を経て迎える今回だからこそ、地に足をつけて、しっかりショーをやっていきたいです」
▷10月25日発売のB-PASS 12月号に、TVアニメ 『青のミブロ』オープニングテーマとしてSPYAIRが書き下ろした新曲「青」を掘り下げたロングインタビューを掲載します。お楽しみに!
単独野外ライヴ
『Just Like This 2024』

2024年9月29日(日)
日比谷野外大音楽堂
開場 16:00 開演17:00

Thank You! SOLD OUT!!

公式サイト https://www.spyair.net/justlikethis2024/
「FEEL SO GOOD」

「FEEL SO GOOD」

2024.09.29 Release
VENUE ONLY EDITION

M1. FEEL SO GOOD
M2. 現状ディストラクション - From THE FIRST TAKE
M3. オレンジ - From THE FIRST TAKE
M4. FEEL SO GOOD (Instrumental)

9/29『 Just Like This 2024』会場限定販売/価格:2,000円(税込)
https://smar.lnk.to/wb8XOi
11/4~12/16 全国ツアー『SPYAIR TOUR - AO -』開催決定!
全国ツアー『SPYAIR TOUR - AO -』


2024.11.04(月)  CLUB CITTA'(神奈川県)
2024.11.17(日) DRUM LOGOS(福岡県)
2024.11.21(木) 札幌ペニーレーン24(北海道)
2024.11.23(土) 仙台Rensa(宮城県)
2024.12.01(日) なんばHatch(大阪府)
2024.12.02(月)  Zepp Nagoya(愛知県)
2024.12.16(月) Zepp Haneda(東京都)

〈Information〉
10月19日(土)夕方5時30分より、読売テレビ・日本テレビ系全国ネットで放送開始となるTVアニメ 『青のミブロ』オープニングテーマに書き下ろし新曲「青」が決定!

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