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UNISON SQUARE GARDEN 現体制ラストライヴ『UNISON SQUARE GARDEN LIVE 2026「Sentimental Period」』レポート

Live

2026.08.07

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 7月15日(水)、UNISON SQUARE GARDENが幕張メッセ国際展示場にて『UNISON SQUARE GARDEN LIVE 2026「Sentimental Period」』を開催した。このライヴをもって、ドラムの鈴木貴雄が脱退。現体制での活動にピリオドを打ち、バンドは活動休止に入ることとなった。
Text 山口哲生
Live Photo Viola Kam(V'z Twinkle)
 ライヴタイトルに掲げられた「Sentimental Period」は、2008年にリリースされた彼らのメジャーデビューシングルのタイトルだ。本公演の開催とそのタイトルが発表されたとき、こんなところで伏線回収的なことをされても全然嬉しくないというのが正直な気持ちだった。しかし、この曲にはUNISON SQUARE GARDENというロックバンドの信念が綴られていて、ここに刻みつけた言葉を本当に大切にしながらここまで歩んできたんだなと、改めて思い知らされるところもあった。そうやって自分を納得させようと思いながらも、やっぱりどうしても寂しい。まったく気持ちの整理がつかないまま幕張へ向かうという、私と同じような気持ちの人も多かったのではないだろうか。この日のライヴは配信も行なわれ、彼らを愛する多くの人たちが現体制の集大成を見届けた。
 暗転。歓声と拍手が上がる。オープニングSEは、これまで彼らのライヴの始まりを告げていたイズミカワソラ「絵の具」だ。いつもはオーディエンスの拍手もしばらくすると落ち着くのだが、今日は鳴り止む気配がない。青い照明に包まれたステージに鈴木貴雄、田淵智也、斎藤宏介が姿を現わす。メンバーが登場するごとに拍手の音量が上がるのだが、その音には少し緊張感が漂っている。それぞれが持ち場につき、鈴木のカウントから始まったのは「フレーズボトル・バイバイ」だった。どんな始まりになるのかと会場全体がいつも以上に身構えているであろうところへ、ポップで軽快なアップテンポナンバーを叩き込んで意表を突く。そんな選曲がなんとも彼ららしい。そこから間髪入れずに「アナザーワールド」へ。スピードをグッと落とし、骨太なスロウナンバーを一音一音確かめるように奏でていく。斎藤のギターソロもいつにも増してエモーショナルに場内に響き渡る。そして、〈またいつか会えたらいいから〉〈忘れられない今日になった!〉(フレーズボトル・バイバイ)、〈さよなら もう行くよ〉(アナザーワールド)と、今この瞬間の状況と重なってくる言葉たちが耳に飛び込んでくる。
 「UNISON SQUARE GARDENです」という斎藤の一言から始まったのは「オリオンをなぞる」。瑞々しい音が駆け出していく。ミラーボールが場内を照らす中、田淵はステージを縦横無尽に暴れ回り、鈴木は激しいフィルを叩き込んでいく。斎藤が放つ〈ココデオワルハズガナイノニ〉という一節が強く胸に迫ってくる。息をつく間もなく繋げた「カオスが極まる」のヘヴィなサウンドが、場内の熱気をさらに高める。ステージ背面に備え付けられた巨大なLEDスクリーンに映像を映すという、彼らのライヴでは珍しい演出を交えながら、激流のような勢いで音が迫ってくる。そこから重ね合う音が煌めきを増していき、「MR. アンディ」へ。跳ね上がるビートと3人のコーラスが美しく響き渡る。異なるカラーの楽曲を繋げて激しく揺さぶりまくっていくユニゾンらしい展開だ。
 そして、MCを挟むことなく怒涛の勢いで曲を畳みかけていくというのも、ユニゾンのライヴである。やや抑えたトーンで「最後までよろしく」と斎藤が告げた後、「君の瞳に恋してない」から始まった流れがとにかく凄まじかった。強烈なまでの多幸感と高揚感が会場を包み込んでいくと、「桜のあと (all quartets lead to the?)」「場違いハミングバード」と、キレ味をグングンと増して疾走していく3人の音に大歓声が上がる。続く「Invisible Sensation」は、リズムが微妙に前のめりになったり、やや後ろ寄りになったりしながら、それでもぴったり息を揃えてグルーヴしていくところに、3人がこれまで築き上げてきたバンド感を強く感じさせられた。さらに「オトノバ中間試験」「天国と地獄」とライヴチューンの連投で熱狂を膨れ上がらせたまま、「傍若のカリスマ」になだれ込む。青色をフィーチャーした映像や照明が場内をスタイリッシュに彩る中、間奏で各パートのソロに入る前に、鈴木が「オン、ベース!」「ギター!」と叫び、熱を高める。凄まじい音圧とアンサンブルで感傷的な空気を吹き飛ばしていく構成は、ただただ圧巻。何の濁りもない純粋な興奮が渦巻いていた。

 その興奮は、少しのブレイクを挟んで始まった「WINDOW開ける」から、色合いが変わっていく。斎藤の鬼気迫るギターソロも、そこから繋ぐ田淵のメロディアスなベースも、鈴木の抑揚を激しく効かせたドラムも凄まじい説得力に満ちていて、その場の重力が強まったかのような感覚に陥るほどの強烈な轟音に打ちのめされる。そこから一転、柔らかく繊細に音を紡いでいく「クローバー」がとにかく美しく、この3人が織りなすアンサンブルを生で味わえなくなってしまうことが改めて惜しくてならなかった。その寂しさに寄り添うように、あるいはそれを増幅させていくかのように奏でられた「harmonized finale」、そして「さわれない歌」が、さらに強く胸を締め付ける。
場内の空気が感傷的になったところに「箱庭ロック・ショー」が鳴り響く。斎藤が鋭いギターとメロディを放つ後ろで、田淵はドラム台に乗り、鈴木と視線を交えながら真剣に、それでいて楽しそうに音を重ねていた。アウトロで3人が向かい合い、一気に熱を高めて突入したのは「ガリレオのショーケース」。鈴木がスティックを回しながらダイナミックにドラムを打ち鳴らせば、斎藤と田淵がステージ上で追いかけまわし合う(しかもバチバチのキメを入れながら)というお馴染みの場面も飛び出した。強烈な音を掻き回した後、フロアタム一発で瑞々しいアンサンブルに切り替わり、斎藤がタイトルコール。曲は「センチメンタルピリオド」。LEDスクリーンに3人の姿が大きく映し出される。柔らかな笑みを浮かべながらフロアを見渡して音を高鳴らしているその姿に、この曲に「センチメンタルピリオド」というタイトルを付けた当時、彼らは未来にどんな景色が広がっていると想像していたのだろうかと、思いを馳せずにはいられなかった。

 ライヴタイトル曲ということもあり、ここでエンディングかと思っていたが、「あと3曲!」と斎藤。鈴木が全力でカウントを叫び、「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」になだれ込んだ。フレーズも身体も動きまくる田淵、猛然とフィルを叩き込みまくる鈴木、伸びやかなロングトーンを放つ斎藤。3人が生み出す強烈な高揚感と、もう終わってしまうのかという名残惜しさがぐちゃぐちゃに入り混じっているところに、「シュガーソングとビターステップ」が飛び込んでくる。スクリーンには3人の後ろ姿と、その先に広がっている彼らの音楽を心の底から楽しんでいる客席の景色が映し出されていた。残り1曲。「UNISON SQUARE GARDENでした」と斎藤が一言。現体制のラストナンバーとして鳴らされたのは、「Catch up, latency」だった。〈敬具、結んでくれ 僕たちが正しくなくても〉。本来であれば曲の最後に綴られている歌詞を、この日は曲の冒頭に持ってきていた。
 この歌詞について、同曲のリリースインタビュー(本誌2018年12月号)をした際に、「音読すると絶対に泣くから、取材では言わないようにしてる」と、田淵が話していたことをよく覚えている。自分たちの音楽や活動スタンスは、大多数に受け入れられるための“定石”や“セオリー”、すなわち“正しい”と呼ばれているものからは程遠い。けれども、自分たちがロックバンドとして楽しいと思えることをする。「センチメンタルピリオド」で〈バイバイ〉と別れを告げているのは、世間で“正しい”とされる定石やセオリーに対してであり、そのことをメジャーデビュー曲で宣言するという、ある種の宣戦布告のようなものだったのかもしれない。もちろんそれはどう考えたって容易いものじゃない。ロックバンドを全力でやるために、徹底的なまでに細心の注意を払いながら、自分たちがいいと思える、好きだと言える音楽を鳴らす。そうやって「ロックバンドは、楽しい」という信念を結成から22年間貫き続けた結果、彼らの音楽は、ライヴは、多くの人の心を深く震わせてきた。またそれと同時に、このライヴから感じたことは、鈴木がバンドを去るという選択も、バンドが活動を休止するという決断も、“正しい”とは言い切れないのかもしれないが、それでも自分たちは前へ進む──もしかしたらこの日はそんな意味合いも込められていたのかもしれない。正しくないかもしれないけど、やる。そんな決意を音に乗せ、まっすぐに高鳴らしているように見えた。

 最後の曲を終えた後、斎藤が「ラスト。オン、ドラムス、タカオ・スズキ」と告げると、鈴木のドラムソロが始まった。いつもはライヴ中盤や、終盤へ向けた起爆剤としてセットされることが多かった彼のソロコーナーだが、この日はこの場所に置かれたことで、鈴木が別の道へと新たな一歩を踏み出していくことを強く印象付けるものになっていた。ゆったりとしたテンポで幕を開けつつ、少しずつ手数・足数を増やしていく。笑顔でスティックを打ち鳴らしてオーディエンスのクラップを求める。すると、左手に持っていたスティックを放し、右手だけでビートを刻みながら、左手でペットボトルのキャップを開けて中身を飲み干すというアクロバティックなパフォーマンスでも盛り上げる。そこからさらにギアを上げて猛打。椅子から立ち上がり、全力で音を打ち鳴らし、絶叫する。
 配信されていた映像を帰宅後に観たところ、鈴木のドラムソロを舞台袖で見つめている斎藤と田淵の姿をカメラが押さえていた。リズムに合わせて首を軽く振る斎藤と、前屈みになってステージを見つめる田淵。2人はときに笑みを浮かべながら、鈴木の勇姿を見届けていた。

 ドラムソロが再び最初のゆったりとしたテンポに戻ると、鈴木は心臓の鼓動のようにバスドラムを強く踏み鳴らす。その一音一音を噛み締めながら、同時に自身の胸を力強く叩いていた。穏やかな笑顔でソロを終えると、大きな歓声と拍手が送られていた。

 ドラムソロが終わった後、斎藤と田淵が再びステージに戻ってくる。3人が横並びで立つと、フロアからは一際大きな拍手と歓声が送られた。そして、斎藤と田淵がステージを後にし、ひとり残った鈴木が最後に挨拶をする。そこで語られたのは、バンドの20周年を記念した日本武道館公演でも口にしていた、鈴木貴雄というドラマーの根源にある強い思いだった。

鈴木「あなたが焚べてくれた火のおかげで、今日まで生きてこれました。お返しはできているだろうか。いつもいつもそう思いながら、ドラムを強く打ち付けてきました。どうか俺もまた、あなたに火を渡せていますように。そしてまたいつかどこかで会えたら、あなたに火を渡せる自分でいられるよう、それまで自分を燃やし続けます。UNISON SQUARE GARDENでした!  またね!」
 こうして現体制での活動に幕を下ろしたUNISON SQUARE GARDEN。この幕張メッセ公演は、12月に映像作品としてリリースされることが決定している。また、10月28日に『Revival Tour “Catcher In The Spy”』、11月には『TOUR 2025「Charisma & Princess」』も発売されることとなった。

 3人の今後の動きもすでにアナウンスされている。斎藤はTenTwentyとしての活動を続け、鈴木は個人事務所を立ち上げて新たなスタートを切り、田淵は活動を休止しつつも、例外として現在サポートやプロデュースを手掛けている多次元制御機構よだかとDIALOGUE+には引き続き携わっていくとのこと。3人はそれぞれの道を歩み出す。しかし、解散ではなく活動休止ということは、いつか再び動き出す可能性も残されているということだ。その日がいつになるのかはまったく見当がつかないし、どんな形になるのかも正直想像がつかない。何よりも今回の決断を下した3人の意思を尊重したいし、こちら側から無責任にいい加減なことを言いたくはない。けれども、いつかまたその日が来たのなら、UNISON SQUARE GARDENというロックバンドの音を、心の底から思いっきり楽しみたい。それだけは心に決めている。
[SET LIST]
01. フレーズボトル・バイバイ
02. アナザーワールド
03. オリオンをなぞる
04. カオスが極まる
05. MR. アンディ
06. 君の瞳に恋してない
07. 桜のあと (all quartets lead to the?)
08. 場違いハミングバード
09. Invisible Sensation
10. オトノバ中間試験
11. 天国と地獄
12. 傍若のカリスマ
13. WINDOW開ける
14. クローバー
15. harmonized finale
16. さわれない歌
17. 箱庭ロック・ショー
18. ガリレオのショーケース
19. センチメンタルピリオド
20. 徹頭徹尾夜な夜なドライブ
21. シュガーソングとビターステップ
22. Catch up, latency
・ドラムソロ
Live Blu-ray&DVD
UNISON SQUARE GARDEN Revival Tour “Catcher In The Spy” at NHK Hall 2024.04.25

2026.10.28 Release
初回生産限定盤 2BD+2LIVE CD+フォトブックレット ¥11,000
通常盤 BD+2LIVE CD ¥8,800
通常盤 DVD+2LIVE CD ¥7,700
https://tf.lnk.to/USG_CITSRVBDDVD


UNISON SQUARE GARDEN TOUR 2025「Charisma & Princess」 at KT Zepp Yokohama 2025.02.13
2026年11月リリース予定
※詳細は後日発表

UNISON SQUARE GARDEN LIVE 2026「Sentimental Period」at Makuhari Messe 2026.07.15
2026年12月リリース予定
※詳細は後日発表
UNISON SQUARE GARDEN
ユニゾンスクエアガーデン。’04年結成。’08年7月、シングル「センチメンタルピリオド」でメジャーデビュー。’23年4月に9thアルバム『Ninth Peel』、’24年7月に初のベストアルバム『SUBMACHINE, BEST MACHINE』を発表。’26年1月、最新シングル「うるわし / アザレアの風」をリリースした。
公式サイト https://unison-s-g.com/

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